キミガイタ120日
「アズサ、遅かったわね。お帰りなさい。」
こんな暖かい家族と過ごせる時間も、残りわずかか。
そう思うと、今、この時間を大事にしなきゃ、って思える。
あたし、変わったね。
ご飯を食べ、お風呂に入り、そろそろ寝ようか、とベッドに寝転がる。
はぁ…。
頭から離れない。
あたしを見下すリュウの瞳が。
発する言葉も、起こす行動も別人なのに、あの瞳だけは、いつものまま。
澄んだ、優しい瞳だった。
それに、あたしは、リュウのキスにドキドキしていた。
そんなの、カッコ悪すぎだけど、それは本当。
乱暴なようで、優しかった、。
そんな気がした。
でも、あたしは決めたんだ。
リュウは、…、
もうやめよう。
残されたわずかな時間、もうあんなツラい思いなんてしたくない。
笑って、死にたいよ…。
だから、
だから、
──もう、良いんだ。