最後の恋
そして、約束の課長とのご飯は以外に早く行くことになった。

“今夜、あいてる?”

そんな社内メールがきたのは、あれから数日した日のことだった。

私は“大丈夫です”とだけ返事を送る。

約束は7時になったので、少し早めにホテルを出た。

待ち合わせは、駅前のカフェだ。

たぶん、多少仕事で時間に遅れても大丈夫なように、と考えてくれたんだと思う。

カフェに入って、中を見る。

まだ、課長は来てないみたいだった。

私はカフェモカを頼んで、窓際の席に座る。

ここだと、課長が来てもわかるだろう・・・。

モカを飲みながら、来る途中に買ったブライダル関係の雑誌を広げる。

知らない人が見れば、私は結婚間近の幸せな女だと思われるだろう・・・。





「待たせてごめん」

雑誌の特集に真剣に見入ってる頃、課長が来た。

「・・仕事?」

雑誌をのぞき込む。

「仕事・・・・ですかね?」

質問に質問返ししてしまった。

「行ける?」

「はい。大丈夫です。」

雑誌を鞄にしまい、モカを飲み干す。

課長の後を付いて店を出る。

「誘っておいて悪いんだけど、この辺まだ知らないんだ・・・。どこか良い所ある?」

そうだった。

課長はまだこの街に来たばかりだ。

「居酒屋でも良いですか?」

良いですか?と聞いておきながら、他はあまり知らない。

嫌だといわれたらどうしようかと思ってたら、課長はその方が良いと言って微笑んだ。










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