小さな魔法使い
苺ミルク。

先輩と俺

「先輩ッ!大丈夫ですか!?」
俺は、携帯を握りしめて病室に駆け込んだ。
「おー新か。」
当の本人はと言うと…小さい子供達に囲まれていた。


「…何、やってんですか?」


きゃいきゃいと子供達は先輩の周りを俺の存在を気にする事無く囲んでいる。
「何って、魔法。」
とかいいながら、トランプを手からバラバラ出している。
はぁ。とため息をつく

「もう一度聞きます。何やってんですか。」

今度は語尾に怒りを込めて、先輩に聞いた。
「だから―俺は魔法を使ってるの♪」

くそっ…倒れたばかりの病人じゃなけりゃ殴ってるぞ。

「それはてじ―…むぐ。」
先輩は俺の口に手ごろな蜜柑を投げつけた
「ッ…何するんですか!!」
子供達を掻き分け、先輩の近くへ行く。

「こんな所で子供の夢壊すんじゃねーよ。」

俺にしか聞こえないような小声で俺の耳を引き寄せ、そう言った。
「夢…?」

「おにーちゃん、もう魔法おしまい?」
「もっと見たい!」

「はいはい、今日はこの兄ちゃんと話しがあるから終わりな。病棟にそれぞれ戻るよーに。」

子供達は、はーいと声を揃えて病室を去って行った。

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