支配者
「昔と比べると、大分上の者の顔触れも変わってきていてね」

手帳を見ながら、わたしは言う。

この手帳には410年前からの血族のプロフィールを載せている。

…わたしが血族の幹部になったのは、今の姿で成長が止まった時だった。

おかげで410年以上、姿は変わっていない。

記録を残すようになったのは、何となく…周囲に取り残されてしまったからだ。

この手帳を持っていても、当主達は何も言わなかった。

きっとわたしが血族を裏切らないことを、分かっているからだろう。

不思議な素材で出来たこの手帳は、どんなに内容を書き込もうが、ページが減ることはない。

五十音順に付箋が貼ってあって、ページ数は買った時から減りも増えもしない。

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