ローソ
「んな事ねーよ・・」

勇馬は涙をぬぐい、郁也の声のするほうへ向く。郁也は勇馬に近づいた。

「こういう状況ん時は仲間よりも自分のことを最前に考えちまう。それが人間の本能なんじゃねーの?だから、こうやって仲間のことを声で言葉で心で心配してやれるお前はすげーいいやつだよ・・俺、孝介が選ばれた時、俺じゃなかったから内心ほっとしてた。孝介の気持ちなんて考えてられなかった。同情な・・・」ガッ

「なっ!?」

和弘に胸倉をつかまれ、拳を握り締めていた力が一気になくなる。だが、郁也は抵抗はしなかった。ただただ、和弘をにらみつけた。

「また人のせいにすんのかよ?和ちゃん?」

胸倉から手が離れ、その手はブランと力なくさがった。それと同時に和弘の目線も下に下がる。

「このゲームにギブアップってねーの!?もうやだ・・これ以上・・仲間割れも仲間がなくなっていくのもみたくない!帰りてぇ!!またいつもみたいにみんなで楽しく笑っていたいよ・・!」

がつっ

郁也は和弘に一発、殴りをいれた。和弘は殴られた場所を手で押さえなみだ目で郁也を睨んだ。

「いつまでも弱音はいてんじゃねーよ!帰りてぇならクリアしろ!」

「郁也・・・」


・・はじめは殆どの人が泣いてた。でも今皆冷静で、ただ試練を待っている。











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