悲しき恋―時代に翻弄されて―
―彼女は夢を見た

「戦!?」

「ああ。また私にもお呼びが掛かり、戦へ向かん。」

「いつ…、」

「今からじゃ。」

今から、由親がまた戦へ向かうといういつ起こってもおかしくない夢。
正夢になるのはそう遠くない。それは彼が武士を辞めるまで、いつも背中合わせ。由親が武士を…なんてありえないと彼女はわかっている。寝ても覚めても、戦が頭から離れない。

だから、また頬を濡らす。彼への一途な恋心、父の命の心配、それが全て涙腺を辿り、視界を歪ますのだった。
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