私vs国連
げっ歯類の攻撃
『げっ歯類の攻撃』

この時になって初めてパタ美は自分が電話を間違えていたことを知った。
「やっべーッ!ポリスを呼んだつもりだったのに!」
動揺するパタ美に、間違って呼ばれた陸奥は彼女を元気付けるように頼もしく言い放った。
「ご安心ください!ポリスは無理でしたが、動物帝国からリスを何匹か連れてきました。かわいくて、凶暴ですよ!」
陸奥が軽バンの後部のドアーを開けると、中から目つきの悪いリスたちが何十匹も飛び出してきた。リスたちはドングリやクルミなどを両手で上手に抱きかかえており、時々それを齧って栄養を摂取していた。
「さあリスたちよ、治安を乱す一個人を、野性の力で懲らしめるのだ!」
「キーッ!」
リスたちは猛然とアパート二階の窓際にいる静子に向かって走り、壁をよじ登った。

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