【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
非難するつもりはないけど、あまりにもサキが笑うから、
私の塞ぎ込みかけた心もあっさり好奇心に白旗上げて、
腹をかかえたサキを見てしまった。
視線がバチリと合う。
「文句あんの?」
台詞はヤンキーのそれ。
それなりに迫力もある。
だけどすぐに吹き出してしまうサキ、その台詞をいかせる説得力がない。
どうしてこうも、私は構われたくない人に構われてしまうのだろう。
絡まれてる、が近いか。
「……笑いすぎです」
また敬語になってしまった。
同い年なのに。
──同い年でいいんだよね……?
ちょっと不安になる。
見た目大人びてるからか、年上に見えてきた。
留年したと言われても信じてしまいそうだ。
「ごめんごめん」
打ち砕けた言い方で、悪びれた感じがない。
「いやーきいたよ。あんたユキトに告……むぐっ」
反射的にからだが動いた。
サキの口を力一杯、手のひらで塞ぐ。
サキは怖いけど、その話が誰かの耳に入るのはもっと怖い。
「だだだだだ誰にきいたんですか!!」
動揺した私には、それだけ囁くのが精一杯だった。