【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
私は抱えたカバンを手に下げ直すと、
教室を後にした。
──帰ろ。
一人での下校は久しぶり。
秋月会長がいたからっていつも何か会話するわけでもないから、
変わらないといえば変わらない筈なのに。
寂寥感のようなものを感じて、戸惑う。
ナツキに言った『用事』なんて方便だったけど、
あの時私は、無性に生徒会室へ行きたかった。
秋月会長が来なかったことが、私の中に影を落としていて。
でもあの勢いが、嘘みたいに私の中からスッと消えてしまっているから、
この足で向かうなんて勇気はない。
コハルについていけば良かったかな。
プリントを運ぶ手伝いをするという面目があれば、行けたかも。
だけど行ってどうするの。
きっと秋月会長は、執務が忙しいのだろうし、
ただ邪魔するだけだ。
それがわかったから、来ないのかも……
私の教室に来るのは、秋月会長にしてみたら、
きっと無駄な時間、だもの。