【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
「期待しているぞ」
その言葉に秋月会長は声も返さない。
何の話だったんだろう。
そう思ってぼんやりとしていると、ヒロシ先生の声が聞こえた。
「じゃあ、行ってよし」
秋月会長へ退室を促したから、私は慌てて扉から離れようとする。
タイミング悪しくガラリと内側から扉が開き、秋月会長が私に目をとめた。
しかしまるで私なんて見えなかったみたいに、無表情でヒロシ先生のほうへ向き直ると、軽く頭を下げてピシャンと扉を閉める。
扉を閉めたその手が、間髪入れずに私の腕を掴み、
無言でぐいと引っ張った。
いきなりの事に声すら出せないまま、
秋月会長に引きずられつつ廊下を進む。
階段のある突き当たりまで行くと、軽々私の体勢を変えられ、
壁に背をつける格好にされた。
逃げ場を塞ぐように、秋月会長が目前に立つ。
「何をしている」
「べ、別に……な、なにも」
嘘を見破ろうという気迫を感じさせる瞳で強く見据えられ、やましい事などないのに、しどもどと返事をする羽目に陥った。