【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
自販機前に自転車を止め、財布を取り出した秋月会長。
チャリンとお金を投入すると、迷いなくボタンを押した。
ガシャンと落下する音と同時に、電子音が鳴る。
クジがついた自販機なのだろう。
私も何か飲もうかな、と思ってカバンから財布を探ろうとすると、
掛け声と共に缶ジュースが投げられた。
いきなりの事にうまく受け止めきれず、地面に落ちて鈍い音がする。
「ヘタクソ」
かがんだ頭頂部に、理不尽な声が降ってきた。
リアクションを返さずに、手を伸ばして缶を拾いあげると、それは私の好きなレモンティで。
顔を上げて、秋月会長を見る。
会長はもう一本コーヒーを買っていて、
既に飲み始めていた。
「あ、お金……」
財布をガサゴソやると、「いらねぇ」とそっけなく返ってきた。
「でも……」
「当たったし」
サラリと言うと、ぐっと缶コーヒーを飲み干す。
ぐびりと動いた喉仏が、薄闇のなか自販機の光に淡く照らされ、ほんのりとセクシーに見えた。
「……なに」
「え?
いや、なんでも」