【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
「まさか名前を訊かれるなんて、思わなかったな……」
ユキトさんに名前を訊かれた瞬間、心臓が跳ねた自分がいる。
他の誰でもなく、私に向かって微笑んだ顔にも。
だけどその一方で、心のどこか片隅に、秋月会長へ申し訳なく思う気持ちも、何故だか湧いて。
後ろめたいというか。
どうしてそんな気持ちになったのか、わからないけれど。
秋月会長が答えてくれたとき、ホッとしたのも事実だった。
頭が全く動かなかったから。
秋月会長としては、ユキトさんに関わらなくていいようにだったのかも、と思う。
もしそうなら、私、守られてばっかりだ。
なのにその反面、秋月会長と関わることで、確実にユキトさんと近くなっている気もする。
今回みたいに。
──秋月会長は何がしたいんだろう。
答えを求めるだけ、無駄だろうか。
私はゆっくりと、昇降口へ向かった。