【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
どこからどうみても、今やってるホラー映画のチケット。
結構な話題作であり、人気もある。
テレビCMでもよく見掛ける映画で、観客動員数が塗り替えられただのなんだのと、頻繁に耳にしていた。
秋月会長はムスッとした顔で、これが見えないのかと言わんばかりに、更に突き出してくる。
「チケット」
「いや、それはわかります。そうじゃなくて、なんで映画のチケットが?」
「……今週の土曜」
「え? ああ、期限みたいですね」
よくよく見れば、チケットには有効期限が書いてある。
正確には、今週の日曜日がチケットの有効期限だったが。
「観に行くぞ」
…………へ?
「会長、今観に行くって言いました……?」
あまりの衝撃に、秋月会長の顔を、穴のあくほど見つめてしまう。
「……別に、詫びとかじゃ──」
キスのこと、私が気にしたと思ったから?
でも私はその考えをすぐに手放し、目下の問題を排除すべく、慌てて手をふった。
「無理ですっ無理無理無理無理!」
「あ゛?」
ギロリと鋭い目が私の心臓に突き刺さる。
そんな脅すような目で見られても!
「あたし、スプラッタは大丈夫なんですけど、ホラーはちょっと……」