未来のない優しさ
「柚…」

久しぶりに名前を呼ばれた…。

『ゆず』

昔付き合ってた頃、そう呼ばれるたびに嬉しくて、にやける顔を堪えるのが大変だった…。

でも、もう単なるご近所に住む親戚だから。

「ねぇ、杏ちゃんのお宮参りの写真あるよ。見る?」

野崎くんの返事を待たずに席を立つと、寝室に写真を取りに行く。

背中に野崎くんの視線を感じながら…。
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