未来のない優しさ
「望とは何も…もう何もないから」

慌てて言う俺の言葉がおかしかったのか、くすくす笑う柚は、俺を見上げて

「ふふっ。信じてる…。

それに…さっき健吾が婚姻届を出しに行ってくれてる時に、望さんが病院に来てくれて説明してくれたから…」

「はっ?望が?来たって…」

思わず柚を見つめたまま大きな声を出してしまう。
ホテルから柚を病院に搬送してからずっと、望の事はすっぽり頭から抜けてた…今の今まで。

「…で、なんで…来たんだ?」

「婚約者の人とあのホテルに泊まってて、健吾を紹介しに部屋に行ってたって。
二人きりで部屋にいたわけじゃないって言ってたよ」

軽く笑いながら言う柚を胸に抱いて大きく息を吐いた…。

けれど、安心する間もなく、柚の声が部屋に響く。
それは悲しい声で…。

「望さんみたいな綺麗な人と抱き合ってたんだね」
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