クロスロードラヴァーズ
「今晩は!梓ちゃんの具合……どんな感じですか?」
翌日の夕方、宇津町家の玄関で柚枝が柳都に尋ねた。
「熱は無いみたいだけど、気分が悪いから部屋には入って来るなってその一点張りでね……。部屋の前に食事を置いているんだけど、あまり食欲もないみたいなんだ。」
「そうなんや……。梓はん、ほんまに重症なんやな。」
柚枝の斜め後ろに立っていた郁が、心配そうに眉を下げる。
「初めは夏風邪だろうって思ったんだけど、どうやら違うらしい。心の病気のようなんだ。柚枝、郁……何か心当たりは無いかな?」
「そう言われても……急には思いつきません。昨日は元気だったのに。」
「心当たりって言われてもなあ、うーん……」
腕組みをして数秒考えていた郁が、何か思い出したようにアッと小さく声を漏らした。