恋するために生まれた

「今日は飲み会だから遅くなるよ」

「はーい。飲み過ぎないでね」

妻が背伸びをしてキスをする。


「いってらっしゃい」

「行ってきます」



妻は中学時代の後輩だ。
…と言っても付き合ったのは大学生になったあとだった。


――小さくて、かわいい子だ。

それが第一印象。



妻に不満なんてない。
明るくて、優しくて、よく気がきいて…最高の妻だ。

そう、妻はヒマワリのようだ。
周りを明るくするパワーが
きっとある。





それなのに…


俺は電車の君に
毎朝会えることを楽しみにしている。

会える、って言っても
ただ一方的に見かけてるだけだ。



目の保養?

まぁ、その程度だろう。
性格も何も知らないんだ。
テレビで女優を見るのと同じ感覚だ。
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