恋するために生まれた
「…嘘でしょ?…」


妻は凍りついた表情で
それだけ、言った。



「すまない…」

「お腹の子はどうするのよっ!」

「本当にすまない…」


妻の目から
涙が溢れ出した。


あぁ、俺は
なんてひどい人間なんだ。

でももう
引き返すことなんか、できない。
俺の隣にはナオがいる。




「産んでください!」


黙っていたナオが
急に妻に向かって叫んだ。



「お腹の赤ちゃん…
 私、育てますからっ…
 精一杯育てますからっ…」

「ナオ…」


妻は一瞬、驚いた顔をしたが
フッと鼻で笑うと
冷ややかに言った。



「ずいぶんと上から物を言うのね」

「いえっ…そんなつもりじゃ…」



こんな妻の表情は
初めて見た。

それくらい
冷たい、感情のない目をしていた。



「もう…二人でよろしくやって。
 二人共消えてよ!!」




何も言えなかった。

悪いのは俺だ。
傷つけたのも俺。
何もかも、俺のせいなんだ。


「また…来るよ」


俺とナオは
ひとまず、家を出た。
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