恋するために生まれた
一瞬、間があって


「ぶっ…ぁははははっ!!」


その男の子は笑い出した。


「おまえ、変なヤツだなー」



――あたし変なこと言った?



「俺はツバサ。
 空飛ぶ翼のツバサ」

「ツバサくん…」

「ツバサ、でいいよ」



なれなれしい人って
実はちょっと苦手なんだけど
あんまり爽やかだから
まるで前から知ってたかのような
不思議な感覚。




「おまえなんでここに来てんの?
 通院?」


なんで、と聞かれると
困ってしまう。

ここが好きだから、なんて
入院してる人には
失礼じゃないだろうか。




「…空を見にきてるの」

「空?」

「そう、空」

「やっぱ変なヤツだな、おまえ」



あたしは
男の子と二人きりで喋ったこと
ほとんどないのに
しかも初対面なのに
自然な気持ちでいる。





「入院してるの?」


その場の雰囲気で
ごく自然に聞いてしまった。

言い終わってから
ちょっと失礼だったかな、なんて
後悔したけど
ツバサは気にせず爽やかに

「見ればわかんだろ?
 ちょっと足折っちゃってさ」

と言った。
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