ジュリエットに愛の花束を。


どこからの情報だか分からないけど、後をつけていたお兄ちゃんが部屋に乗り込んできて。

無理矢理あたしを連れ出すと、

『いいか?! 三日後にうちに来いっ!! 

それまでにこの怒り狂う気持ちを、どうにかして落ち着けておいてやるからっ!』

って樹に言い残した。


昔からおせっかいなところは確かにあったりしたけど、結婚してからはうちにはあまり帰ってこなくなってたのに。

今さら、どうしたんだろ。


とにかく、その間の三日間、あたしは完全に家に軟禁状態で。

おかげで、毎日のように会ってた樹と会うのは、三日ぶり。


「椎名、とかいったな。おまえ、どうやって瑞希に取り入ったんだ?」


少し声のトーンを落としたお兄ちゃんは、でん、とあぐらをかきながら樹に聞く。



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