ジュリエットに愛の花束を。


黙り込んでしまった松永を見てると、胸が痛む。

けど……。


昨日の樹の強引な行動。

その原因の多くを、きっと松永との事が占めてると思うから。

あたしの無神経ではっきりしない行動が、樹を不安にさせたんだと思うから。

だから。


「本当に失礼な事言ってるのは分かってる。

松永が好意でしてくれてた事なのに……。

うぬぼれてるみたいで嫌なんだけど……あたしは、樹しか考えられないから。

樹を、傷つけたくないから。

……ごめん」


そう言ったあたしに、松永は真顔で黙り込む。

伏せた目で何を考えているのか……。

気になったけど、松永の言葉を待った。


広い中庭には、ところどころで生徒がお昼をとったり、話したり。

微かに聞こえてくる話し声が、あたしと松永の間を流れていた。


……そして。

しばらくしてから、松永が口を開く。




< 156 / 355 >

この作品をシェア

pagetop