ジュリエットに愛の花束を。


「でも、おっかしいよなー。いつも通り臨んだのに。

なんで今日に限って取れなかったんだろ……」


そう呟いた松永に、鞄の中に入っている林檎うさぎを思い出してハっとした。

もしかして、このせいで……?!


そんな事を思って、鞄を見つめていると……。

皐が立ち上がりながら言う。


「いや、違うから。っていうか、瑞希、そんなくだらない事願ったの? 

……とりあえず、あたしは席外しとくねー。ファイト」


笑いながらそう言って歩き出した皐に、自分の使命を思い出す。


そして……、松永をじっと見つめた。


「あの、松永。話があるんだけど……今、いい?」

「うん。なに?」


あっけらかんとして答える松永には言い出しにくいけど……でも。


「毎日毎日プリンもらって、それは嬉しくない事はないんだけど……でも、はっきり言うと、ちょっと迷惑なんだ。

ほら、あたし、彼氏いるし。

……他の男から優しくされてるの見るのって、樹も嫌みたいだから。

だから……もう、そういう事しないで欲しいの」



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