ジュリエットに愛の花束を。
まさか、そんな。
そう思うけど、今の雰囲気から察するに、どうやら本気らしくて。
隣で何も言わずに頬杖をついて反論しない樹を見ると、どうやら樹もそのつもりらしくて。
真っ白になった後、ごちゃごちゃとした考え事が散らばった頭で言葉を探した。
おじいちゃんは、返事をせかさずにあたしを見つめていて。
少しの間黙った後、おじいちゃんを見て尋ねる。
「あの……あたし、日本語しかできないんですけど大丈夫でしょうか。
それにちょっと、あまり上品な生活とかも身体に合わなくて……俳句だとか川柳だとかもたしなめてないし……。
習字はやってたんですけど、3年習って初段っていう非常に中途半端な感じで、多分その手の才能がないんだと思うんですけど……」
本気で聞いたのに。
それを聞いた樹とおじいちゃんは、2人して笑い出す。