ジュリエットに愛の花束を。


「瑞希、……うちの会社、別に天皇とかと違うから……。

俳句なんか、俺も作れねぇし……、腹痛い……」

「だってっ、」

「外交なんてないから安心して大丈夫だよ。

俳句だとか川柳のセンスも、書道の才能も必要ないよ。

……それにしても、面白い発想する子だな」


目尻に涙を浮かべるおじいちゃん。

樹に至っては、本当にお腹を抱えて笑っていて。


そんな樹の足をテーブルの下で蹴飛ばしてからおじいちゃんを見た。


「すみません……。なんか大企業ってイメージが湧かなくて、てっきりあんな感じかと……」

「いやいや。笑うって事は身体にすごくいいからね。だから私はこんなに元気なんだろうね。

瑞希ちゃんのお陰でまた10年は長生きできる。ありがとう」


そんなに笑い転げてたっけ?

なんて疑問に思ったけど、それがおじいちゃんなりの気遣いだって事に気付いて微笑んだ。





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