ジュリエットに愛の花束を。


「あれな。マジまいるんだけど。

しかもなんで元カノとかなってんだよ。一回学校帰りに遊んだだけなのに」

「遊ぶにしたって普通の子にすれば問題なかったのにっ……!

なんで麻衣ちゃん……」

「……まぁ、いいだろ。もう二年以上も前の話だし。いちいちムキになって訂正してたらそれこそ事実みたいで嫌だし。

もう関わりたくねぇし。……『麻衣ちゃん』」


部活で疲れたのか、樹は肩に背負っていた鞄をドサっとソファ脇に落とす。

そして「はー……」と息をついてから洗面所に向かって、うがい手洗い。

その後、冷蔵庫を覗いて……あたしを振り返った。


「なんだよ、このプリン。新商品?」

「うん。学食の幻プリン、メープル味。

今日から一ヶ月の期間限定で一日30個限定商品」


あたしの説明を聞いた樹は、プリンを片手に冷蔵庫を開けたまま顔をしかめた。


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