ジュリエットに愛の花束を。


「椎名とは……付き合って何年だ?」


珍しく樹との事に興味を示したお兄ちゃんに、少し戸惑いながら答える。


「えっと……二年くらい」

「その間、別れ話になったりケンカになった事は?」

「……ケンカはしょっちゅうしてるけど、別れ話にはならないかな。

樹は、そういうところは大人で、いつも先に折れてくれるし」


ぼそぼそと話すあたしに、お兄ちゃんが笑う。


「おまえが一向に謝らないから仕方なくだろ」

「そんな事……っ、まぁ、少しはあるかもしれないけど。

……でも、あたしの事よく分かってくれてる証拠じゃん」


こんな普通のテンションで、樹の事をお兄ちゃんと話すなんて少し照れくさい。

それでも樹の株をあげようと頑張ると、お兄ちゃんはまた黙ってしまって。


「どっちみち、女のために自分の意思を折る男なんてろくな男じゃない」とか言いながら、自分の部屋に戻っていった。






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