ジュリエットに愛の花束を。
「……んー」
「今の電話、誰だ?」
声に出して唸ると、その様子を見ていたお兄ちゃんが聞く。
電話の内容を聞いてたのか、あたしを見張るように廊下に立ったままこっちを見てた。
「んー……プリンくれる大学の人」
「……瑞希、知らない人からお菓子なんかもらっちゃ、」
「同じ講義いくつもとってるから友達……ではないかもしれないけど、顔見知りだから大丈夫。
……プリンくれるだけだし」
「おまえ、そういう奴が一番危ないんだぞ?! 大人しそうにしてる奴ほど豹変した時……っ」
「松永はそういうキャラじゃないから大丈夫だってば!
もー……樹みたいに言わないでよ」
樹の名前を出した途端、お兄ちゃんはぐっと口を結ぶ。
そして少し黙った後、面白くなさそうに聞く。