ジュリエットに愛の花束を。


だけどそれを言えば、その間諦めようとしてたけど、やっぱり無理で……とか、理由なんかいくらでもつけられそうだったからやめた。

どっちにしても……申し訳ないけど、ありがたくないし。



 ※※※



「瑞希ーっ」


学校帰り、校門を出たところで後ろから声をかけられた。

嫌な予感に振り向いた先にいたのは……やっぱりか。


「……松永」

「昼休みさー、瑞希の事探してたのにいなくて困ってたんだ。はい、プリン」

「……なんであたしにプリンくれるのが当たり前みたいになってるの? 

あたし、本当にいらないから松永が食べてよ。もしくは皐に……」


差し出されたプリンに困り顔で微笑むと、松永はにこっと笑ってぐいぐいプリンを押し付ける。


「でも、これは俺の気持ちだし。いいじゃん。付き合ってって言ってるわけでもないし、プリン貰って欲しいだけなんだし」

「いや……それが余計に引っかかるんだけど。

見返りなしにプリン渡すっておかしいじゃん。プリンおとりに何か狙ってるんでしょ?」

「え、でも、だってプリンはワイロじゃないし……。

つぅか、プリンが賄賂って、インパクト弱くね?」

「……まぁ、弱いけど。っていうか、プリンと交換で譲れるものなんか、そうそうないけど」

「じゃあ、はい」

「……」


プリンを差し出す松永は、犬みたいに愛らしい瞳に、にこやかに笑みを浮かべて……。




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