ジュリエットに愛の花束を。


その後、皐と松永のプリンの奪い合いが少し続いて。

プリンを守るように教室から出て行った松永に、あたしはようやく立ち上がる。


身体を伸ばしていると、それを見ていた皐は目をつぶって首を振った。


「あれはイタイね。松永、本気だよ、アレ」

「……でもさ、今もずっと考えてたんだけど、あたし、松永と会話した事なんてほとんどないんだけど。

しかも必要事項くらいしか話した事ないのに……ありえなくない?」

「一目惚れなんじゃん? 瑞希、見た目はそこそこ可愛いし」

「……どうも」


だけど、一目惚れだとしても腑に落ちない松永の行動に、首を捻る。


一目惚れで惚れ込んじゃうのは分かる。

一目惚れだからって理由で軽い気持ちだって決め付けるなんて間違ってるし、そこから始まる真剣な恋愛だってたくさんあるだろうし。


問題なのは……なんで、最近になってそんなに関わろうとするのか。

4月からよく顔を合わせてたのに、なんで今頃アプローチ?

半年以上も経ってるのに。



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