ジュリエットに愛の花束を。


樹の発言に、かなり面白くない気持ちになりながらも、それを隠すように言うと、樹は視線をあたしに移して……口の端を吊り上げる。


「妬ける?」

「……別に」

「心配すんな。

瑞希が言うような予防線があるなら、俺は100本は引いてるから。

よほどの鈍感じゃなきゃ飛び越えてこねぇよ」

「ふぅん……」


なんで樹がそこまでアリサさんを嫌うのか分からないけど、さっきのアリサさんの態度を思い出すと、確かに樹への好意を感じられて。

あんな、いかにもモテ女な感じの人が樹を狙ってるのかと思うと、少し不安になる。

知的っぽくて、どこか可愛く見せて、でも実は気の利くお姉さんキャラで。

皐とはまた違うタイプのモテキャラだ。


「……瑞希が不貞腐れると思って今まで特に言わなかったけど、俺、本当にあいつの事苦手……つぅか、嫌いだから。

おまえは、何にも心配する必要ねぇからな」

「……おまえもな」


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