ジュリエットに愛の花束を。


「だって、瑞希がおまじないとか、占いとか? そういう類のモノ信じるなんて思ってなかったんだもん。

まさか信じてるなんて……なんかもうギャップでやられちゃってさ。

瑞希が超可愛く見えるんだもん。今だったら彼女にできる!」

「……あたしは、皐みたいな彼氏は嫌だけどね。「ふふー」とか笑う彼氏なんかやだ」


そっぽ向いたまま減らず口を叩くあたしの肩を、皐が抱き寄せる。

そして、決定打を言ってのけた。


「『学食のプリンを好きな人からもらえると、その二人は幸せになる』なんて……そりゃあ、松永のプリンなんか食べられないよねー?

椎名先輩がくれるの待ってるんだもんねー?」

「……違うし。そんな子供騙し、信じるわけないじゃん」

「またまたぁ。でも、思い出してみれば、瑞希って林檎うさぎのお守りも持ち歩いてるし……もー、女の子なんだから」

「だから……」


なんとか否定してみるものの、すっかりそう思い込んでる皐を軌道修正するのは難しそうで。

あたしは、バツが悪くなりながら口を尖らせた。


「だって、万が一松永とそんな事になっちゃったら困るじゃん」


そう呟いたあたしに、皐はにんまりと笑ってあたしを横から抱き締める。

……皐がやると、まるで新しいプロレス技だ。




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