白き砦〈レイオノレー〉
エレオノールはぶすっしてとその場に立ち止まり、ルーヴィエの後ろ姿を見つめた。
今までだって、ほんの数えるほどしか女物の衣装なんか身につけたことはないのに、
急にこんなひらひらしたものを着せられて、大人しくしろと言う方が無理だ。
普段からスエードのズボンを履いて剣を振り回し、森の中を一日中兄と駆け回っていたのに、なにを今さら女の恰好なんて。
と、その耳が何かの物音を捉えた。
「蹄の音がする。聞こえない?」
ルーヴィエもそれを察知したのか、歩みを止めた。
にわかに中庭の外れのあたりが賑やかになってきた。
馬や人が茂みをかき分けて、走り回る音がする。
近衛銃士たちの呼び合う声も聞こえてくる。
「やっぱり何かあったんだ。ほら、警鐘が鳴ってる」
エレオノールはそう言うと、いきなり胸元から懐剣を引っぱり出した。
次いで自由な足の運びを妨げていた、ヒールの高い靴を脱ぎ捨てた。
次の一瞬、彼女は回廊から庭へ降りて駆け出していた。
「どこへいらっしゃいますの!」
ルーヴィエが叫んだ。
「加勢してきます!」
「なりません! お戻りくださいまし!」
ルーヴィエが慌てて引き留めに駆け寄ってきたが、エレオノールはするりと身軽な動作で植え込みの隙間をくぐり抜け、
あれよというまに、生け垣の向こうへ走り去っていった。
今までだって、ほんの数えるほどしか女物の衣装なんか身につけたことはないのに、
急にこんなひらひらしたものを着せられて、大人しくしろと言う方が無理だ。
普段からスエードのズボンを履いて剣を振り回し、森の中を一日中兄と駆け回っていたのに、なにを今さら女の恰好なんて。
と、その耳が何かの物音を捉えた。
「蹄の音がする。聞こえない?」
ルーヴィエもそれを察知したのか、歩みを止めた。
にわかに中庭の外れのあたりが賑やかになってきた。
馬や人が茂みをかき分けて、走り回る音がする。
近衛銃士たちの呼び合う声も聞こえてくる。
「やっぱり何かあったんだ。ほら、警鐘が鳴ってる」
エレオノールはそう言うと、いきなり胸元から懐剣を引っぱり出した。
次いで自由な足の運びを妨げていた、ヒールの高い靴を脱ぎ捨てた。
次の一瞬、彼女は回廊から庭へ降りて駆け出していた。
「どこへいらっしゃいますの!」
ルーヴィエが叫んだ。
「加勢してきます!」
「なりません! お戻りくださいまし!」
ルーヴィエが慌てて引き留めに駆け寄ってきたが、エレオノールはするりと身軽な動作で植え込みの隙間をくぐり抜け、
あれよというまに、生け垣の向こうへ走り去っていった。