この恋だけ、
目を開けると、真っ白の天井が目に入った。


おかしい。
私の部屋の天井が、こんなきれいなわけがない。


右を向けば、窓。


カーテンの隙間から光が射し込む。


どこだろう?


『…なんでですか!!』


あれ?


遠くから、お母さんの声が聞こえた。


目を閉じて、耳をすましてみる。


『蒼は、いい子なんです!勉強もできて、優しくて…なのに何であの子が…!』

私の話をしているらしい。

声が聞こえなくなったから目を開けた。


私が、なんだろう。


…?


視線を感じて、左を向く。

瞬間、隣のベッドに座る男の子と目があった。


真っ白のベッドの角度を上げて、右手に本。
白い肌に、黒髪。


髪と同じ色の瞳だけが、こちらに向けられている。


五秒、


いや、もっとだろうか。
その人の、あまりの綺麗さに


―見とれてしまった。


自分が寝ているのに気づき、体を起こした。


『―――痛っ!』


心臓に、鋭い痛みが走った。まるで心臓を握り潰されたような。


とっさに、手で胸を押さえた。


その痛みは一瞬で引いた。

落ち着いて、周りを見渡してみる。


広い部屋に、四台のベッド。それから、さっきの男の子。


部屋全体が白で統一されている。


ここ、もしかして病院?
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