この恋だけ、
なんでいきなり病院?


昨日は、確か学校に行って…それでどうしたっけ?


ガラガラッ


少し控えめな音とともに、病室のドアが開いた。


反射的にドアの方を向くと、お母さんが入ってきた。

『あら、蒼。起きたの?無理しないで寝てなさい。』

そう言って、ニコッと笑った。


お母さんの目が、少し赤みを帯びている。
少し、腫れている。


…泣いてた?


きっと、さっきまで泣いていたんだろう。


『大丈夫。それよりなんで病院にいるの?』


『覚えてないの?学校から帰ってきて、倒れたのよ。玄関先で。』


そういえば、昨日は朝からダルかったような…


『そっか。なんで?』


きっと、私は何かの病気なんだろう。


さっき、お母さんが叫んでいたことといい、
心臓の痛みといい…


ドラマでよくみる展開だ。

私が、『なんで?』と聞いたところで正直にお母さんが答えてくれる訳がない。

『蒼は、勉強の頑張りすぎよ。疲れが出たのよ。』


ぎこちない笑顔。


ほら、ね。


嘘ついてるの、バレバレ。下手くそな嘘。


私なら、もっと上手にできるのに。
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