キスの魔術師


その日、4時ごろになると恭介は帰って行った。


あたしはもうすっかり熱が下がって、気分も良くなった。




だけどあたしの胸はいっぱいいっぱいだった。



胸の中に隠されていた憂鬱原因。

それが解放されても、今度は〝別れ〟という悲しみに支配されるんだ。





『…きょ……すけ……』



恭介の前では頑張って笑顔を作っていた。

だけど、もう…


我慢の限界………。




『…うっ……ううっ……』




次から次からとあふれてくる涙。


それはとどまることを知らず




『……うっ…ふっ……恭介…』




あたしは止まらない涙を、一生懸命止めようとした。




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