恋に恋した5秒前




委員会の準備を終え、自分たちの組の場所に行くと、もう既に皆がいた。

僕たちは紅組だ。
皆赤いはちまきを付けていた。


「ほら、お前らもはちまき!」

そう言い渡してくれたのはクラスメートだった。


「最上とこのクラスで出来る最後の行事だからな。皆気合い入ってるんだ」

「おう。ありがとう」


正直それほど馴染めていなかった(というか僕が馴染もうとしなかった)このクラスだけど、皆そんな風に思ってくれていたんだと知って、嬉しくなった。


「レン、お前もう行く準備は出来てんのか」

はちまきをギュッと縛りながら、京平がいつにもなく真面目な顔をした。

「出来てる」


僕がそう答えると京平は少しだけ頷く。


「…れんちゃんには言った?」

「…まだ。」

「そっか」


少しどきりとした。

言わないつもりと京平が知ったら、どう言うだろう。


…駄目だ。他のことは考えないでおこう。
今は体育祭を楽しむだけ。



そう心を落ち着かせた。




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