私vs国連 〜悲劇の世紀末救世主伝説〜


「ええか!よぉ見とけ!こういう比例グラフの問題はな、XとYに数値を代入する所から始まるんや!西入(しゃーにゅう)とちゃうで!」


サラダイエルのダミ声が時空局の天使たちのやる気を徐々に削っていく。


ちなみに「西入」とは麻雀用語であり、麻雀の基本的な半荘戦の東場、南場の二局で決着がつかない場合、更に西場を戦うというもので、半端なくダレる麻雀となる事間違い無しである。


………いや、この話にゃ関係ないだろ!


ともかく、半人前教師サラダイエルの講義は続く。


「えぇと、Xが………あ、チョイとこのX借りて、この場合は10を代入し…………」


「き、局長!その数字は!!」


近くに居た秘書官のファニエルが驚く間もなく、サラダイエルはあろう事か、空間を滑る「確定した事象」の「X」を「10」に書き換えてしまった………!


「え?………あ、しもたっっ!!」


彼は事の重大さを認識したが時すでに遅し、その誤った時空配列は隣の運命局へと軽やかに宙を滑っていく…………!


サラダイエルは自身のデスクに駆け戻り、「緊急・運命局直通」と受話器に書かれた黒電話を取り、相手が電話に出るのをイライラしながら待った。




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