私vs国連 〜悲劇の世紀末救世主伝説〜


「「L・O・V・E、ラブリー、ひかり〜〜!!」」


『みんな〜〜!だいちゅき〜〜〜!!」


「「オレも〜〜〜〜!!!」」


もはやこういった会場には必要不可欠となった、無駄にカロリーを大量に消費している集団を横目で見ながら、斎藤通彦(さいとうみちひこ)は本日5度目となる溜め息を深々とついた。


大学中退という輝かしい経歴を持つニート界のホープである彼だったが、今回のコミケで地元のニートの師であるマスター・レモンから指定されたコスプレは、彼のニートとしてのプライドを傷つけるには十分であった。


豊か過ぎる肉体につけられているのは、サスペンダーとズボンのみ。頭にはハゲのヅラをつけられ、顔には髭を描かれた。


そう、「北斗の拳」に出てくる悪役、「ハート」のコスプレだった。


(今時、こんなの知ってるヤツなんていねーって…………。)


どうせなら、もっと女性に騒がれるようなコスプレをしたかった彼だったが、ニート界の顔役であるマスター・レモンの命令に背ける筈も無く、渋々、こんな半裸を晒す格好でこの会場に居る。




.
< 7 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop