【禁断の恋】赤い嘘【完】
「5,330円です」


母の財布から一万円札を取り出しスマートに会計を済ませる星矢。


ただお金を払うだけの事なのに、星矢が行う動作は全て様になっているような気がする。


明らかに婦人物の財布を使っていても、星矢が手にすると不自然ではない。


「ありがとうございました〜!」


ほらね。


20代半ばのこの女店員も星矢に目を奪われている。

どこへ行ってもその容姿で注目を浴びる星矢。


どこへいってもドジばかりして注目を浴びる私。


兄妹。


血の通っている私達。


どうしてこうも差があるんだろう?



「何ボケっとしてんだよ。袋入れんの手伝えよ」


「うん……」


頭を一度軽く叩かれた私は、星矢に促され渋々透明のレジ袋に先程買った大量の食料品を詰め込んだ。

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