【禁断の恋】赤い嘘【完】
「……ねぇ、一個持つよ?」


「別にいい。重たくねぇし」


「でもさ……」


「いいって言ってんだろ?それにお前が持って転んだら、後々めんどくさいことになるし」


両手いっぱいの袋を持ち、肩に学校指定の鞄を下げている星矢。


ペットボトルや重さのある野菜を大量に買い込んだため、星矢の手にはかなりの重みがかかっているに違いない。


『別にいい。そんな重たくねぇし』


そんな星矢の優しさが胸に突き刺さる。


突き離したりキツイ言い方をしたり……。


それなのに、いざっていうときはいつだって優しいんだ。



「星矢……ありがと」


私は隣に歩く星矢に気付かれぬようそっと呟いた。
< 56 / 175 >

この作品をシェア

pagetop