【禁断の恋】赤い嘘【完】
リビングに入り重い腰をソファに下ろし、テレビの上に置いてある茶色い木の写真立てを見つめる。 


カラー写真の中で満面の笑みを浮かべる4人。


父、母、星矢、私。 


どこにでもある平凡な家族写真はいつもだって私を苦しめる。


……いつからだろう? 


星矢に特別な感情を抱くようになったのは。


兄である星矢を男として意識するようになったのは。 

「姫、早く朝ご飯食べないと遅刻するぞ?」


「……分かってる!」


母と同じ台詞を口にする父に若干苛つきながらも、私はテーブルの上に置かれていた冷えたトーストを思いっきり口に頬張った。 


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