【禁断の恋】赤い嘘【完】
ベッドに座りそっと壁に耳を当てる。


でも星矢の部屋からは物音一つしない。


「……星矢、寝ちゃったのかな?」


殴られ蹴られ星矢の体はボロボロだろう。


あの時星矢が助けに来てくれなかったらと思うと今でも身震いがする。


でもあの時もし星矢が来なかったら……


私は星矢を諦められていたのかな?


兄である星矢から離れる事が出来たのかな?


「……無理だよ。私には星矢しかいない」


星矢しかいらない。


星矢がいれば、それだけでいい。


私は星矢から離れない。


離れられない。


私は永遠に星矢を兄とは思えないんだ。



私は一生この想いを胸にしまい込み生きていく……。

「こんなに好きなのに……何で星矢が私のお兄ちゃんなの?」


胸が痛み心臓が張り裂けてしまいそうで。


堪らなくなった私はベッドの上で頭を抱えた。

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