お家に帰ろう。

明と将人は、よく話し合った結果、
慌てる必要の無くなった結婚を、今度は、しっかりと準備の整えられた時期に、改めて執り行うという話で、互いに納得をした。


将人はこれから、大学を卒業するまでに、資格取得試験や就職活動、そして、ある程度の資金も稼ぐためにバイトも続け…それはもう、忙し日々が始まるのだ。

それでも、
“自分で選んだ未来”という目標に向け、弱音など吐いてる暇はなかった。


そして明は、夏休み中、ある高校の編入試験を受け直し、
休み明けから、新しい学校にて、高校生活を再始動することになった。


「大貫さん、ヨロシクね！」


新しい苗字に、戸惑うことも少なくなってきた頃…


「明ちゃん？」


懐かしい呼ばれ方に振り返ると、

「え？！…うそ…」

何故か、そこに立っている、市川の姿に驚いた。


バスケ部の練習試合で訪れたのだとか…

もちろん、明の通う学校とは知らなかったと言う。


「偶然だな。」

「こんなことってあるんだね。」

「…ちょっと、話せないか？」

「でも試合が…」

「迷惑じゃなければ、試合観てってよ！」


少し、強引になったようにも思える市川は、今ではチームを引っ張って、まとめる、キャプテンとなっていた。


（へー、こんなに頼もしいヤツだったんだ？）