お家に帰ろう。
「まーくん、どーしたの?」


階段に座り込む将人を、トイレに起きた明が見つけた。


「シ〜!」


振り向いた将人が、慌てながらも音をたてぬようにして、明の方へと駆けあがる。

その時…


「あの子はもう、私の子よ!!」


珍しく、母が興奮する声に、
明は興味を示し耳を傾けた。


「明、戻ろ。」


将人は部屋へ連れていこうとするが、

「誰の話?」

「さあ?何のことだろうな?」

「だって聞いてたんでしょ?」



一歩も引き下がらない明を、

「明は約束守れる子?」

「何の?」

「明が秘密を守れるなら、教えてあげよっかなぁ」

「うん!明、言わないよ!約束する!」

「じゃあ、おいで。」


兎に角この場から遠ざけるため、なんとか自分の部屋へと連れていくことにした。


将人、小学校6年生。
明は小学校2年の時。


この頃はまだ、遥と明は一緒の部屋で、内緒話には将人の部屋が適していた。


勉強机とセットの、クルクル回る椅子に明を座らせると、
その前に立て膝をつき、
将人は話をはじめた…
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