彼岸花の咲く頃に
パタンと女性誌を閉じ、姫羅木さんは本棚に戻した。

そして真っ直ぐに俺を見据える。

…彼女はたまにこういう目をする。

人間の姿形でありながら、時々動物の目になる。

一挙手一投足を余す事なく観察するような、不穏な動きを見せれば即座に『行動』に移るぞと言わんばかりの。

言うなれば野生動物の目。

ちょっと苦手な目だ。

何だか胸の中に嫌なものを感じ始めるほどの時間、凝視された後。

「ふぅむ」

姫羅木さんはニンマリ笑った。

「千春はわらわをよく観察しておるものな。気にしておっても不思議はないか」

どうやら緩みきっているようで、俺が密かに盗み見ている事は気づいていたようだった。

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