彼岸花の咲く頃に
アッコさんが本性を現した途端に、息もできないほどの圧迫感が俺を襲った。

特有の威圧感。

殺気という奴だろうか。

「あら…そんなに脅えなくてもいいじゃない」

鋭い犬歯を口元から覗かせ、アッコさんが笑む。

「化け狐を見るのは初めてじゃないんでしょ?この店には、私とは別の化け狐の匂いがプンプンしてるもの。私だけ除け者にしないで、仲間に入れてちょうだい?」

…馬鹿を言っちゃいけない。

アッコさんは…この女は姫羅木さんとは全く違う。

姫羅木さんは彼女の事を、性質のよろしくない野狐だと評していたが…そんな言葉で片付けられるものじゃない。

山の中で熊と遭遇したって、ここまでの圧倒的な『死』は感じないだろう。

アッコさんは…この野狐は、それほどに性質の悪いものだった。

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