丸腰デパート・イケメン保安課
更科にツッコまれた笙は、やれやれと肩をすくめた。

「刑事って地道〜」
「今頃気付いたのか?!」
「今日も一歩前進です」
「遅ぇよ!一歩かよ!走れよ!」
「歩くとぅわ〜少し止まる、とぉ書くのですぅ〜」
「金八先生のモノマネか?!似てねぇ!」
「3年B組――…!」
「金八呼ばねぇよ!張り込みなんだ!大人しくしてろ!頼むから!」
「…頼まれては仕方ありませんね?」
「問うなよ!俺が言った事だろうが!」

仕事以前に手のかかる後輩だ、神経が擦り減る…更科はそう思っていた。





そんな風に半年が過ぎ、9月に入った頃だった。

午後8時頃、刑事課に15歳の少女が保護されてきたのは。

顔には青アザが浮き出ており、唇からは血がにじんでいる。
明らかに殴られた形跡があった。

着ている制服もボロボロの少女は毛布に包まり、婦人警官に出されたコーヒーを震える手で握りしめ、顔色は蒼白だった。


「何があったんでしょうか」
領収書をまとめていた笙は、隣のデスクで煙草に火を付けている更科に声をかけた。

少女を見つめ眉をひそめた更科は、煙を一息吐き出し、デスクの上に両足を乗せた。

「ありゃあ強姦…レイプだな」
「レイプ?!」
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