丸腰デパート・イケメン保安課
「更科!東!」
課長が呼んだ。

「はい、何でしょうか?」
立ち上がる笙。
更科も舌打ちしつつ、煙草を灰皿で揉み消して立ち上がる。

「事情聴取頼む」
課長が指したのは、保護されてきた少女だった。
すかさず更科は反抗した。
「何で俺らなんすか?窃盗かかえてるトコなんすけどねぇ?」

あからさまな嫌味に、課長はむっと瞳を細めた。
「忙しいのはお前達だけじゃない」
課長は背を向けデスクに戻っていった。


「っち!押し付けやがった!あのハゲ野郎!」

吐き捨て、更科はイライラと頭を掻きむしった。
「押し付けって何ですか?」

笙の疑問に、更科は嘲笑する。

「こういう聴取は誰もやりたくねぇのよ?」
「なぜですか?被害者でしょ」
「だってよ、本人怖がってるから話進まねぇし、細かい事聞かなきゃならねぇんだぞ?」
「それが聴取なんじゃ?」

分かってねぇなぁと、更科はため息をついた。

「どこでどうやってヤラれたとか、細かい事聞くんだぞ?俺は嫌だよ。何より、思い出させるのが可哀相じゃねぇか。怖かったのによ」
「ああ…そうか……」

笙は、震える少女を見つめた。


「よく女の子に非情ができるよな…1番嫌いな事だ…許せない」
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