愛してると言えなくて…

◇大切なの…◆





朝目が覚める


いつものように顔を洗っていつものように仏壇に手を添えて
いつものようにご飯を食べる…

中学2生になってすぐ…

あたしの目の前にあの母はいない…



母が家を出る前日母は


『お母さんか…お父さん…どっちについて行く?』


そういった…
どうすればいいか分からなくて…


『分からない…』


そういった…

母は少し微笑んで仏壇にご飯を添えた


お姉ちゃん…


あたしとふたつ違いのお姉ちゃんは
この世に生を受けず亡くなった


そのせいかあたしが少し風邪をひいただけで母は大慌てで病院に連れて行った


何もかもあたしを一番に考えてくれて
あの日も…

『父さんが帰ってこないからって私にあたらないでくれる?』

あんな酷いことを言った自分…


それでも母はあたしの制服を洗ってくれた

お弁当を作ってくれた…


その母は今私の前にはいない…



「尚ちゃん…?」


祖母が不思議そうに私を見た






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