小悪魔な幼なじみ




瞼を閉じてすぐ。

耳に聞き慣れた音色が入って来た。



「あれ…?音楽室からかな?」

竜馬くんのそんな呟きが聞こえる。


この図書室は音楽室と同じ階にある。

だからよく音が聞こえるんだ。


それにきっと、音楽室の窓が開いているせいで音は学校のほとんどに聞こえているだろう。



「これ、廉が弾いてるんだよ」

あたしがそう言うと竜馬くんが驚いたような顔をした。


きっと、あたしが寝ていると思ったんだろう。



「起きてたの?」


「廉のせいで起きたの」


そう言いながらもあたしはまた目を閉じる。

眠くて仕方ないんだ。



「でもよく分かったね。

廉が弾いてる、って」


「分かって当たり前なの。

廉がピアノを習い始めたときからずっと、隣にいたんだもん。


アイツの音くらい…分かるよ。」


夢と現実の狭間にいるあたしの意識は次第に薄れて行く。

窓から入ってくる風が気持ちよかった。



そして薄れ行く意識の中で

こんな声が聞こえた気がしたんだ…




「廉が…うらやましいよ、俺は…」

















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